事務所通信別冊

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2026年1月号 保険契約と見舞金~見舞金として認められる範囲とは~ NEW!!!

 気づいたらあっという間に寒くなってしまい、12月になってしまいました。寒くなってしまうと体調を崩してしまうことも多いかと思いますが、今回は法人契約の医療保険と見舞金についてふれていきたいと思います。

 法人契約の医療保険は、被保険者を代表・役員の方にして加入するパターンが多いかと思います。掛け捨ての法人契約の医療保険の場合、保険料の支払いは法人から行われ、法人の経費となります。契約後、被保険者である代表者が入院する等で、保険金が支払われるとなった場合、法人に保険金が入金され、この入金額は法人としての利益となります。医療費に関するお金の支払いは個人が支払いますので、法人にはお金が入るが、個人にはお金が入らず、支払いが発生するということになります。そのため多くの方は、法人に入金された保険金を、個人に渡せないかと考えます。その際に見舞金を活用しようとしますが、見舞金とはどのようなものでしょうか。見舞金について整理したいと思います。

 見舞金は、法人から個人に支給されますが、慶弔見舞金規定等の社内規定として定め、支給をされることが一般的です。支給された金額は社会通念上相当と認められる額であれば、支払った法人では福利厚生費等の経費となり、受け取った個人は非課税として受け取ることができます。それでは社会通念上相当と認められる額とはどれくらいなのでしょうか。例えば100万円の保険金が法人に入金され、個人では入院手術代等の医療費で50万円支払っていたような場合、見舞金として個人が負担している50万円を補填するような形で、見舞金50万円というのは可能なのでしょうか。参考となる見舞金に関する過去の裁決事例として、平成14613日 国税不服審判所では入院1回につき5万円を相当な額としています。これは訴えを起こした企業の類似企業における規定額、支給実績から導きだされた金額となります。この事例では見舞金を取締役会長に支払った事例になりますが、5万円を超えた部分については、すべて役員に対する賞与とされてしまいました。役員の賞与となると、法人の支払った金額は損金不算入となり、また源泉所得税の徴収が漏れているとペナルティを受け、受け取った個人では受け取った金額分課税されるという三重苦となってしまいますので注意が必要です。

 そもそもではありますが、法人契約の医療保険は個人の医療費負担をサポートするものではありません。医療費の支払いが個人で発生することを考えると、医療保険は本来個人として入るべきものと考えられます。改めて個人と法人は別物として考えることを意識してみてください。